NHKおはよう日本(平成22年5月26日)
「患者さんのための価格の安いかつらを販売し、患者さんを支えているかつら屋さん」という内容で、NHKさんから取材をして頂きました
NHKおはよう日本(平成22年5月26日)放送当日の詳しい内容は次の通りです
次は、がん患者を支える取り組みについてです。
抗がん剤による治療を受けた人の多くが、副作用で髪の毛を失っています。
こうした患者のためのかつらは、頭の形に合わせて作らないと、ズレて頭皮が荒れてしまいますが、オーダーメイドは高額なため、購入をためらう人が少なくありません。
こうした中、価格の安いかつらが登場し、がん患者を支えています。
新潟市の女性です。去年11月、乳がんと診断されました。抗がん剤治療で、髪の毛が抜けてしまいました。
これはがんになる前、まだ髪が生えていた頃です。人と接するのが大好きで、介護士の仕事をしていました。
しかし髪の毛を失ってからは、人の目が気になり、外出することがほとんどできなくなりました。
「まわりの目っていうのは、私に限らずだと思うんですけど、まぁ私は特にかもしれないんですけど、気になりますね。髪があって生活がしたい」
「これが、わたしの相棒ちゃんのかつらです」
普通の生活がしたい。女性はかつらを購入しました。
大手メーカーのものは、およそ60万円。手が届かないとあきらめていた時、このかつらの存在を知りました。
かつらを手に入れたことで、以前の暮らしが戻ってきました。
娘の保育園に、帽子で頭を隠して通っていた女性。今では人目を気にしないで、どうどうと送り迎えできます。
「かつらがあったおかげで、外にも出られるし、再来週も遠足があるんですけど、行こうかなって思っていますし」
女性のかつらを作った、新潟市のメーカーです。
代表の小林勝広さんは、大手かつらメーカーの元社員。低価格のかつらを販売するため、様々なことに取り組んできました。
まず、かつらを人件費の安い中国の工場で製造。直接取引きすることで中間マージンをなくしました。
次に、店を持たずにホームページでかつらを販売。テナント料をおさえました。
さらに大手メーカーのように、CMなどの宣伝を行いません。がん患者がいる病院に直接出向き、商品のPRをしています。
こうした努力の結果、価格をおさえることに成功。これまで50個のかつらを販売しました。
「始めて買ってくれました患者さんが、非常に喜んでくれまして、”それまでふさぎこんだりして外にも出られなかった”、ということをおしゃっていたので、役に立てて本当によかったと思いました」
「こんにちは」
「どうもいらっしゃいませ。お待ちしておりました。」
「今日はよろしくお願いします」
小林さんは、かつらを売ったあとのがん患者のサポートもしています。
いつも自信を持って人前に出られるよう、かつらの手入れを行っています。
提携している美容室にやってきたのは、あの女性です。一時間かけ、傷んでしまったかつらの毛先を直してもらいました。
(小林)「失礼します。どうですか」
(女性)「ありがとうございました。昨日よりさらに外に出たくなりました。髪をさっさっとなびかせながら、歩きたいですね。ほんとにありがとうございます。出会いがあってほんとに」
(小林)「ご縁に感謝です」
(女性)「そうですね」
「元気になって、また普段の生活に戻っていただきたいと思いますし、それが一番ですね。そのための手助けができているということであれば、非常に私もやりがいがありますし、継続的にそうした精神的な支えになっていければと思っています」
がんと闘う女性に希望を与える低価格のかつら。これからも多くの人を支え続けます。
かつらは医療保険が適用されないため、なかなか広く普及していません。こうしたことから、レポートで紹介したような、低価格のかつらの需要が高まっているとのことです。